う〜ん……、ただの官能小説だった。
絶世の美女を妻に迎えるということが、どんなにリスキーなことなのか、しかも、彼女がヤリマンだったらどういう事態を招くのか、ということは、安易に想像できることなのだけれど、それを簡単に刺激的に描いて見せるところが、官能小説たる所以だろう。
なんだかAVを見ている感覚だった。
また、主人公の妻に対する卑屈な言動や感情も、すごく居心地が悪い感じがした。
官能小説としてなら完結しているのだろうが、もう少し物語として成立させるには、登場人物たちの内面をもっと描いてほしかった。特に、希和子が惣一郎に惹かれていく過程や、二人の心の結びつきは必須だと思う。
また、「最後の浮気」に出てくる男、久我。過去を引きずっているのは希和子ではなく、実は久我の方なのである。しかし、希和子を惣一郎に繋ぎ止めているのは、結局体の関係としか読み取れない。
残念な作品だった。
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